12. 原因と結果をめぐる錯覚 社会的認知
錯覚の科学 ('14)
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12-1.物事の原因は心理的に決定される
原因帰属:原因を推測し決定するプロセス
内的帰属:ある行動がその人の性格や能力、気分といった内的属性に起因すると考えること
外的帰属:その時の状況など、本人以外の外部環境に原因があると考えること
ケリーの分散分析モデル(ANOVAモデル):ある出来事の変化とそれに共変する要素を、対象(実体)による弁別性、状況(時、様態)を通じての一貫性、ほかの人との合意性という3つの次元で捉えることで帰属が行われる
原因帰属の分散分析モデル:出来事の共変関係をボトムアップ的な手がかりとして原因帰属を捉える考え方
ケリーは他にも割増原理や割引原理など
基本的帰属錯誤:他者の言動の原因を考える時、外的な環境の影響力に比較して、その人の性格や能力、動機付けといった個人的な要因を過大に評価する一般的傾向
無数にありうる外的・状況環境要因を考慮するより一番目立つその人そのものが原因と考える方が認知的負荷が低い
行為者観察者効果:目立つ対象は立場によって異なるために、他者の行動と自分の行動では異なる帰属のバイアスがかかる
ある行為を行なっている者には、その外的な原因はよく見えているのに対して、観察者からはその人の行動だけが見えているという認知の違いに起因する
自己高揚バイアス:自分にとって好ましい出来事は環境の生徒は考えずに内的に帰属する
自己防衛バイアス:自分の失敗は外的に帰属させる
自己奉仕バイアス:自己高揚バイアス+自己防衛バイアスの総称
内集団バイアス:集団で見られる自己奉仕的なバイアス
究極的帰属錯誤:外集団のメンバーが成功した場合は状況に外的帰属し、失敗した場合には本人の特質に帰属させる傾向。内集団メンバーでは逆になる。
フォールスコンセンサス効果(合意性推測の過大視):自分自身の判断、意見、選択は比較的一般的な者であって多くの人も同じ考えを持つとみなすバイアス
自己奉仕的な動機要因、行為者観察者効果のような認知的要因も働くと考えられている
12-2. 原因帰属スタイルと心身の健康
学習性無力感理論:自分の行動で環境を統制できないという経験を繰り返すと行動と結果の随伴性が失われ、それが抑うつを引き起こす
改訂版学習性無力感理論:学習性無力感理論+原因帰属スタイルの違い
内的 or 外的、安定的 or 一時的、全体的 or 特殊的
悲観的説明スタイル:統制不能な事態や自分の失敗を内的で安定的で全体的な要因に帰属させる。抑うつになりやすい帰属スタイル。
日本人の場合、失敗を自分の内的な要因に帰属させる自己卑下的なスタイルは必ずしも無力感に結びつかないという知見もある
12-3. 感情の誤帰属
情動:一時的で動的な感情体験
ジェームズ・ランゲ説:生理的な喚起が先にあってそこから情動が生じる。情動の末梢起源説。
キャノン・バード説:情動の中枢起源説。
顔面フィードバック:表情筋の反応が脳にフィードバックされて情動の形成に影響を与えていることが明らかにされた。
情動二要因理論(シャクターら):まず刺激による生理的喚起(の認知)があってそこから情動の認識が生じる。その喚起の原因推論が無意識的(潜在的)に行われることによって、感情の適切なラベル付けが行われる過程が必要。
吊り橋実験:自分の喚起状態を女性への好意へ誤帰属させた
覚醒の認知があれば情動が生起する
ベムの自己知覚理論